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ノンフィクション作家・平井美帆 オフィシャルウェブサイト

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書籍BOOK

あなたの子宮を貸してください


講談社 2006年3月
(第12回小学館ノンフィクション大賞最終候補作)

おもな書評紹介(2006)

小学館「SAPIO」5/10号
福井新聞・福島民報
北日本新聞
茨城新聞 4/16
十勝毎日新聞 4/22
岐阜新聞 4/28
沖縄タイムス 4/29
東京新聞・中日新聞 4/30
「ダ・ヴィンチ」6月号
北海道新聞 5/14
PHPスペシャル7月号

あなたの子宮を貸してください
 子どもを望み渡米する日本人夫婦が増える中、出産をめぐる難問に切り込んだ意欲作。
岐阜新聞 06.4.28

 
 これは日米韓の代理出産の実情について、抜群のフットワークと語学力を持つ著者が現実を切り取った、実感あふれるルポタージュである。相手の気持ちや戸惑いを見逃さない感性と、女性としての視点が生の声を写し、読む者を引き込んでいく。人々の幸福のために技術をどう使いこなすか。決定権は誰にあるのか。実際にかかわった人たちの生の声を聞き、考えていくべき問題だろう。
十勝毎日新聞など 06.4.22 
評・医療健康ライター・安井禮子

 
 愛媛新聞(2007年03月25日付) 
コラム土軸 「代理出産」

待望久しい子宝を宿したことがタレントの向井亜紀さんには朗報にならなかった。子宮がんも見つかって全摘に至る。なぜ、と問いたくなる残酷な仕打ちだった。
夫の高田延彦さんは元プロレスラー。代理出産やその後の裁判を逐一明かしてきたのは有名人夫婦の宿命かもしれない。それでも複雑な気分になる。代理出産でも申告しなければすんなり実子と認められている現実があるからだ。そんな子どもが百人を超えるという。
あえて公表した向井さんらに対し、最高裁は代理出産の子との親子関係を認めない決定をした。精子、卵子とも夫婦のもので、遺伝的結びつきが明らかだったとしても「ノー」という厳格な法解釈だ。

 「この問題は立場が違うと考え方が違う。考え方が違うと理解するのは難しい」。平井美帆著「あなたの子宮を貸してください」(講談社)で韓国の仲介会社社長が言う。「この子は代理出産なの」「生を受けたことは素晴らしいわね!」―そんな会話が交わされる米国などに比べ、確かに日本では社会との溝が当事者を沈黙させ、理解を妨げている面はあろう。

その意味でも向井さんらの行動は問題提起になった。もちろん賛否は多様だろう。最高裁も求めた法整備に向け、日本学術会議が哲学や生物学を含む広い観点から見解のとりまとめを進めているが、難航必至に違いない。
そうであればこそ当事者の胸中をもっと知りたい。向井さんは社会に思いを伝えるため勉強中という。少しでも溝を埋める一助にと願う。

 
 アメリカにおける代理出産の現状
2006年05月25日
オールアバウト・ニューヨークで暮らす
インタビューより抜粋
                    

賛否両論のある複雑なテーマを扱いましたが、私は医学書でもなく、情報本でもなく、まずは人間ドラマを描きたかったんです。理屈ではなくて、人の感情。代理母、依頼主、ドクター、代理出産にかかわる人たちの生の声を聞いてみたかった。いったん足を踏み入れた途端、引き込まれていくかんじで、日米取材はとてもやりがいのあるものでした。

どんな問題にしろ、外から批判するのは簡単と思うんです。簡単すぎるゆえ、偏見や誤解があっても気づかないこともある。当事者とまったく同じ気持ちになるのは不可能だとしても、どのような状況や想いで代理出産に挑んだのか、今どのようなことが行なわれているのか、といった現状を知ることは大切だと思います。私自身、取材してみて、何度も「こういうことだったのか」と、いろいろな新しい世界を知ることができました。読者の皆さんに、少しでも、そういう体験をしてもらえれば幸いです。

読んでみて、「代理出産にはやっぱり反対だ!」と感じたとしてもいい。どんな形にせよ、考えるきっかけになってくれればいいんです。日本国内では、代理出産の問題を議論する以前に、生殖補助医療の現状について知ることさえ、消極的なように思います。そういう意味では、性別、年齢問わず、不妊とはまったく無縁の方にも読んで欲しいですね。「産みたい」、「産みたかった」という女性たちの心の叫びに、ぜひ触れてもらいたいと思います。

 
   

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