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「世間」を驚かせるという点にかけて、この人の右に出る作家はいないだろう。
「世間」の男たちにとって、中村うさぎという人を理解することは、かなり難易度の高い命題だ。一方、女たちの間では、彼女に共感を覚える人は少なくない。借金をしてまでブランドものを買い漁り、ゲイの香港人と結婚。ホストにハマり、整形にハマる。そして、自身の女としての価値を確かめるためのデリヘル嬢体験。一見、脈略のない奇抜な行動に、男たちは度肝を抜かれ、好奇の目で彼女を見るだけだ。
新たな奇行に走るたび、自分自身を見つめて本を書き、新しい自分を発見する。最近刊行された『私という病』(新潮社刊)には、これまでの奇行を経て、自分が何を求めていたのか、また新たな発見をしている。
「整形のときもデリヘルのときも、読者が離れてることは覚悟していた」という彼女の論じる言葉に耳を傾けると、いかに我々男たちが、中村うさぎの奇行の意味を誤解しているかに気づく。自分の体験したことでないと自分自身が納得できないのだ、という彼女は、決して、ウケねらいや売名行為だけで、奇行に及んでいるわけではないのだ。
男と女の間には、最終的には理解し合えない永遠のギャップがあるのか。それを埋めてくれるのが、中村うさぎなのだろうか。同性のノンフィクション・ライター平井美帆氏が、この希代の作家の内面に迫る。
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